しあわせゆき №29
「アユコさん、降りますからね。準備をして置いてくださいよ?」
駅長がそして車両に入ってきた。駅長は平然としていた。アユコが泣いていたことも駅長はしっかりと知っていた。しかし平然とそこに立っていた。
「アユコの切符がすりかえられてるんだ。アユコはしあわせゆきの切符を持ってたんだ。駅長なら知ってるだろ?」
シュンはそう駅長に尋ねた。こんな駅長だ。四人が持っていた切符のことぐらい、知っていてもおかしくはない。
「すりかえられてる?それなら犯人は誰なんですか?そんなわけないでしょう。切符が変わっただけですよ。」
駅長は普通にそう答えた。切符が変わるわけがない。けれど、駅長は平然とそう言う。この駅長にとってはそんなのおかしくもないこと、とでもいうような感じだ。
「どうして変わるんだよ・・・・・・。」
シュンはまたそう駅長に尋ねた。シュンには納得が出来なかった。だってアユコが出口駅で降りる理由なんてないのだから。それはカズマもタカギも同意見だった。けれど駅長は急にくすくすと笑い始めた。そして段々に大笑いし始めた。三人には不気味でたまらなかった。
「それはしあわせゆきにいく資格がなくなったからだよ。君らには分からないのかい?」
駅長は笑い狂いながらもそう言った。まるで三人を馬鹿にしているかのようだった。ここに乗っている三人はしあわせゆきにいくべき人間・・・・・・しあわせゆきにいく資格がなくなったら――。
つづく![]()

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