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前の席の飯井口君 ④

平然と話す飯井口登馬と飯井口翔太郎。本当は平然と話してはならないような内容なのだが・・・・・・。
「いるならちょっとぐらい話してくれてもよかったのに。だってきっとみんな飯井口君が双子だなんて知らないよ?」
かおりが冷静にそう聞く。
「あははははぁ。言うの忘れてたなぁ。」
「どうせこんな話、兄ちゃんの恥話だもんなぁ。」
飯井口二人が口々に言う。全くややこしいが、性格が違うせいで分かりやすい。表情とかも明らかに違う二人。それも弟が兄に見えるという・・・・・・ミステリー。
「兄ちゃんほんとに情けないんだから。」
「あははははぁ、そうだねぇ。僕もそんな気がするぅ。」
二人はそしてそんなことを笑い事のように言った。
「しょうがない!登馬のほうはこっちに来い!」
すると急にかおりちゃんは飯井口登馬の腕をつかんだ。そしてぐいっと飯井口登馬を引っ張る。
「あははははぁ、どこ行くのぉ?」
そして飯井口登馬はそう言いながら連れられて行った。
「帰ろうぜぇ。もうこのことははっきり分かったんだしさぁ。」
そして木林正助はそう言うと、さっさと歩き出した。
「でも飯井口君が・・・・・・。」
かおりが不安そうな顔でそう言う。
「いいよ、兄ちゃんなら。」
すると笑顔で飯井口翔太郎が言う。ちょっとかおりは心配そうな顔で飯井口翔太郎を見る。そして似ていると感じる・・・・・・。
 そして三人は二人など気にせず、帰ってしまった――。
 そして次の日。
「かおりちゃん!か、かおりちゃんが飯井口君と!!」
かおりが学校へ着き、靴箱で上靴をはいていると、倉岡桜が青ざめた顔でかおりにそう言った。
「えっ?」
 そしてかおりが教室に向かうと――かおりちゃんが教室の前で飯井口登馬に腹筋をさせていた。
「はい!後五十回!」
「僕できないよぉ。」
「それでも男か!」
「こんなことしなくても男だよぉ。」
「弱音をはくな!そんなこと言ってると本当に女になっちまうんだから!」
飯井口登馬が死に物狂いで腹筋をしている。かおりちゃんはそんなことにもかかわらずどんどん、どんどん、厳しくなっていく。クラス中きっと、飯井口登馬のことを大変そうだと思うだろう。
「ってか、おまえが女かって感じだし。」
するとなぜか急にふらふらと木林正助が現れた。そして口を挟む。かおりちゃんはその言葉に反応して木林正助の方を見た。カチンときてしまったかのような表情だ。
「なんだってぇ?」
そしてかおりちゃんが突っかかる。周りはボー然とそんな様子を見ている。
「おまえ、もうちょっとかよわくなんないと、男になっちまうぞぉ!」
「言ってくれるじゃんか!」
「やるかぁ?」
「やってやる!」
なぜかそんな会話になり、二人は取っ組み合いをし始めた。
「先生!大変です!」
かおりは慌てて先生をそう呼びに行った。
「あははははぁ。すごいなぁ。」
飯井口登馬はそうやって笑っていた。

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